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「鉱石倶楽部」長野まゆみ は私にとって宝物の本

 

私がいつ長野まゆみに出会ったのかはまったく覚えていません。中学生か、高校生か。ただ初めて出会ったのは学校の図書館だったことは確か。

そのとき手にした本は『鉱石倶楽部』でした。タイトルに惹かれてなんとなく手に取った1冊だったと記憶。

読んでみて衝撃。なんじゃこの日本語と世界観は! 感受性高いオタクが多感な時期に出会ってしまったのだから、私が長野まゆみワールドの虜になるのは避けられなかったんだと思います。

近くの本屋には同じ本は売っていなくて、図書館で読むだけしかできなかったんだけど。大人になってから新装版が発売されているのを見かけて、大喜びで買いました。新装版は文庫サイズで写真も綺麗で、一生の宝物になる本のひとつです。

 

あらすじ 

鉱石倶楽部 (文春文庫)

鉱石倶楽部 (文春文庫)

  • 作者:長野 まゆみ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2005/02/10
  • メディア: 文庫
 

 内容(「BOOK」データベースより)
放課後の理科室で古びた図鑑を見つけた少年は、不思議な夜間学級に出席する―ファンタジー短篇「ゾロ博士の鉱物図鑑」を収録。紫水晶、白雲母、月長石など数々の鉱石から生まれた物語は、葡萄狩り、天体観測、寝台特急と場面を変えながら美しく煌いている。著者秘蔵の鉱石写真やショップ案内も充実したコンパクト決定版。 

 

長野まゆみの言葉たち

『鉱石倶楽部』だけではなく、長野まゆみの作品の日本語の美しさと面白さに魅了される人が多いと思います。特に10代の頃だと。

燈【あかり】、筆記帳【ノォト】、麺麭【パン】、敷布【シィツ】、テレヴィ塔、などなど。私は曹達水【ソォダすい】とい言葉にどれだけときめいたか。

日常では使わない漢字や言葉をたくさん長野まゆみ作品で覚えました。大人になった今でもそうした言葉たちにときめきまくりです。厨二病を患ったままのオタクだからかもしれないけど(笑)

夢のある嘘

『鉱石倶楽部』は鉱石を食べ物や薬とした架空の設定で、詩的なミニストーリー群。後半は猫族の店主が営むお菓子屋さんのお話も。

紫水晶は葡萄露という果実。そのまま食べても良いし、発酵させると果実酒に。私は初めて読んだ時に架空の設定だと気づかずに信じてしまいました。鉱石って美味しいんだと目を輝かせたなぁ。なんて単純! すぐに創作であることには気づいたけれど、そのくらい美味しそうな表現で。

そこらにあるものを適当に設定づけて遊ぶ子どもたちのような物語群。ほんとうに発想が素晴らしい。どこかで誰かが評していた「夢のある嘘」という言葉がとてもぴったりだと思います。

想像力をかき立てられて欲しい

長野まゆみ作品を読んだことがない人が一番最初に手を取るのに、『鉱石倶楽部』はありだと私は思います。長野まゆみワールドをしっかり楽しみたいのであれば『野ばら』や『天体議会』もおすすめだけれど、長野まゆみの言葉に触れるという意味では短編の集まりは読みやすいから。

現実的な思考はしないで、空想の世界をとにかく楽しんで欲しい。子どもも大人も、全力で想像力をかき立てられて欲しい。鉱石に興味がなくても問題なし。写真と物語で、こんな味なのかなと想像するだけで楽しい!

 

私の部屋にも蛍石がある

影響を受けたので、私の部屋にも東急ハンズで買ってきた紫色の蛍石があります。鉱石は魅力的だけど、自然界のパワーに酔いやすいので石をたくさん集めるほどハマれなかったんですよね……。

それでも10年以上私の部屋の隅で置かれたままの蛍石。きっとそろそろ熟してしてきるだろうな。

鉱石倶楽部によれば、蛍石は煮だして葛粉を混ぜてジュレにするといいらしい。紫色の蛍石だからグレェプ味でしょう。それなら、ちょっとリキュールを混ぜて、大人が楽しめるジュレにしたらいいかも。暑い夏の夜に、冷蔵庫で冷やしたグレェプ味の洋酒ジュレ。想像するだけで夏が待ち遠しくなります。

 

(2021年1月6日加筆修正)